日本経済新聞 2001.08.29
MBOで経営陣独立  創業者はソフト開発専念

 システム開発のファイテック(東京、03-3556-2970)の増田一之社長らは経営陣による企業買収 (MBO)の手法で独立した。創業者でオーナーの松島利幸氏は獲得した株式売却益を活用し、 米国でソフト技術開発に専念する。技術志向の創業者と、株式公開を目指す経営陣の利害を一致 させるMBOの手法は、技術系ベンチャーの成長戦略として注目されそうだ。

 代表取締役会長だった松島氏は、独立系投資会社のアドバンテッジパートナーズ(東京・千代田)が用意 した買収目的会社に保有する全株を売却し、取締役を退任した。経営陣に加え、アドバンテッジが 丸紅と共同運営する投資基金を通じて買収資金を出した。
 買収金額や松島氏の株式売却益は明らかにしていない。9月末に買収目的会社とファイテックの 合併作業を完了する。松島氏は松井証券のインターネット取引システムを開発してきた。 ファイテックの2000年9月期の売上高は約13億円。従業員は約90人。
 松島氏は株式売却益を活用し、ファイテックの全額出資子会社だったシステム開発の米ファイテック ラボラトリーズ(カリフォルニア州)の株式81%を取得した。米社で金融取引システムなど先端技術 の研究開発を進める。
 ファイテックは松島氏を技術顧問として採用するなど米社との協力関係を継続し、資本関係も残す。 米社で開発したシステムをファイテックが日本で販売する。アドバンテッジは非常勤取締役4人を ファイテックに派遣して株式公開を支援。提携先も紹介する。
 米国では創業者社長が成長途中で外部からスカウトした経営者に会社を譲り、再び技術開発に戻る 例が多い。ファイテックも昨年、日本興業銀行出身の増田氏を社長に招き、松島氏は技術開発に 専念していた。日本でも経営権にこだわらない技術畑の創業者がMBOを株式公開に代わる創業者 利益確保の手段として利用する例が広がりそうだ。


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