Vol.2 ワンタイム・カンパニー会計に関する一考


    ワンタイム・カンパニー会計の必要性

    1. 従来、企業会計はゴーイング・コンサーンを前提として基本会計原則を確立している。しかしながらSPC(Special Purpose Company)に例をみるように特定の目的のために、一定期間存続するというワンタイム・カンパニー(One Time Company、以後OTCと省略)の利用頻度が今後益々増えてくる事が考えられる。従来のゴーイング・コンサーンを前提とした会計システムでは、このようなOTCを経営するための会計管理機能を十分に果たすことは難しい。
    2. OTCは、一定期間経過すると解散し投資家に全て配分されるので、ゴーイング・コンサーンでなく投資家に対し利益を全て配分して解散するという前提の会計システムが考えられなければならない。例えば従来会計期間は1年と定め、その中で利益の確定を行ってきた。しかしOTCにおいては、期間利益は単なる途中経過であり情報開示という意味合いが強くなる。


    -OTC会計の主な特徴は以下のとおり-

    1. 発生主義による期間利益の確定と、期間利益に関する投資家持分の計算(持分確定とは異なる)をおこなう。尚、投資家持分の確定は解散時に初めて可能となる。このことは、OTCの性格から見て説明の要もないであろう。
    2. 投資家に対する配当は期間利益全てを対象とするわけではなく、一定ルールに基づく投資配分システムの考え方が必要。何故ならOTC運営上キャッシュフローがショートしてはならないことがひとつ、期間利益は確定した配分額ではなく、将来発生するかもしれない損失分も担保する必要があることがもう一つの理由である
    3.

    解散により解散時に残った全てのAccrual Distribution額(以後ADと省略)及び債権・債務から残余財産を現金化して投資家へ現金配分するという解散時投資配分の考え方を当初より明示しておく必要がある。

    ※Accrual Distribution額とは、発生主義にもとづいて計算された期間利益をUnitあたりに計算した将来的に配当可能な残高
    4. OTC期間利益の計算段階で、各期利益は確定しても投資家持分としては確定しない。何故なら、存続期間全ての利益を配分することを前提としているため、次期以後に損失などが発生する場合があればその分も負担しなければならない。従って投資家持分としては確定しないことになる。そのため、法人税はOTC期間利益の計算段階では、かけず投資家へ配分された時点で課税されることが二重課税排除の観点から妥当と思われる。
仮想OTCのスキーム※

※OTC会計の全てのケースを説明することはあまりに多くの紙面が必要となるので、ここでは以下のスキームを例にとってある程度具体的に説明を行い会計機能キーポイントの紹介を行いたい


1. 土地提供者から土地を預かり、その上に賃貸マンションを建築する。マンション建設費用及び運転資金を調達するため小口証券を発行し投資家を集う
2. 権利関係
  土地提供者:
1. 10年契約で地代をOTCより受け取る
2. 賃貸マンションを建築し運用、20年後に土地提供者は残存簿価で建物をOTCより買い取る
投資家:
1. マンション建築費用を出資して収益の配分を得る。OTC終了後の残余財産についても配当を得る。
2. 期間収益のなかから一定のルールに基づいて定期的に配当を得る
途中参加の投資家:
1. 既存投資家から証券を買い取ることが可能
2. 投資利益の配分方法は現金による

3.

解散時の配分は残存する全ての財産を現金化して行う


収益費用の発生主義の適用と成果配分の現金主義会計との整合性維持の方法論

1. 一定期間存続をするためにキャッシュフローをマイナスにしない経営を行う
2. OTC期間利益に対する二重課税を排除するため税法を留意した投資家とOTC間契約書を作成する
3.

.定期的投資利益配分の計算方法は一定将来期間に発生する支払債務等を加味した保守的方法による

4. 現在時点における解散価値を計算しておかなければならない。そのことによって保守的現在価値情報を投資家 に明示する
5. 解散時までのキャッシュフローを予測しDCF法に基づき現在価値を計算し投資証券の理論値を計算しておく

OTC会計システムの主たる機能

OTC損益勘定会計

1. OTCの利益は、いずれにしても最終的には投資家に全て配分されてしまうので収益費用認識はどんな基準でも良い訳であるが、投資家に対する情報開示及びフェアネスという点を考えれば、投資家に対する配分の基礎になる利益の算出は各期間毎に発生主義により認識することがで最も適切である
 
@ 投資家の受け取り権利の基礎数字を保守的に公平に反映するため、収益と費用の認識は発生主義を適用する
2. OTC段階で法人税の課税を受け、更に投資家が配当を受けた段階で所得税を掛けられるという二重課税を排除するため
@ OTCと投資家の間で全てのOTC所得は、投資家に所属する旨の契約書を作成する
3. 総勘定元帳システムと家賃収入補助簿システム等の各勘定補助簿システムから構成される


Unit勘定会計

1. 各投資家の投資額をUnit数に変換して投資残高を管理
@ Unit数に換算するのは、一定単位に基づいた計算のほうが理解が容易になること及び後の事務処理が容易になるため
2. 発生主義に基づく投資家別ADの計算
@ OTC損益勘定で算出された利益を、投資金額総Unit数で割ってUnitあたりADの計算を行う
3. 発生主義に基づく取り分計算と現金主義に基づく配分計算の整合性
@ Cash Distribution(以後CDと省略)月末の現金残高から、Distribution可能金額の算出を行う
A CD可能金額の計算は、CD月末の現金残高から翌CD月までの流動負債の金額を控除するなどCashFlowに問題が生じないよう一定ルールを定め、それに基づいて算出する
4. AD残高及びCDのヒストリー・レコードの管理
@ UnitあたりのADとCDの記録から現在AD残高を計算する
5. 解散時まで得られるキャッシュフローを想定して、DCF法などによりUnitあたりの理論評価値を算出する


資産勘定会計

1. 預り資産(土地・建物・設備・什器備品・その他)の明細
 
@ 預り資産に関する全ての明細情報を維持する。
例えば、固定資産住所情報・税金情報・名義情報 等々
A 資産の評価額と預り金の両建て計上
簿価、累積減価償却引当金 等々
B 減価償却の必要資産に関する減価償却費、引当金の計上
2. 事業中取得資産の明細
 
@ 取得資産に関する全ての明細情報を維持する。
例えば、固定資産住所情報、税金情報、名義情報 等々
A 資産の取得原価と簿価
簿価、累積減価償却引当金 等々
B 減価償却の必要資産に関する減価償却費、引当金の計上


投資家勘定会計

1. 投資家別CDの計算及び配布明細の出力
 
@ UnitあたりのADとCDの記録に、投資家別投資Unit数を乗じて投資家勘定の明細を算出する
2. 投資家(証券名義人情報)情報の管理

(Written by; K.F)

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