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- はじめに -
本稿では、既存業務のシステム化における開発チームの構成について、システム化をいかに企業利益に貢献させるかという側面から考察する。
企業の目的が利益をあげることであるとすれば、システムの開発もそれに寄与するものでなくてはならない。では、システムの開発が企業の利益に貢献するとはどういうことか。
システム開発にはコストがかかる。開発したシステムが未稼働の時点では、開発コスト分だけ損失があることになる。
システムが導入され業務に使用されるようになると、業務の効率化によりコストが削減される。この業務コスト削減が積み重なり、やがて開発コストは回収されシステム化は損益分岐点に到達する。さらには損益分岐点を超え、開発したシステムは実際に企業の利益に貢献しはじめる。これが既存業務のシステム化のねらいである。
- 業務コスト削減の原則 -
既存業務のシステム化がねらいどおり達成されるために考慮すべき点として、ここでは次の2つの原則を示す。
| 1. |
システム化によって削減される業務コスト(=システム化前の業務コスト−システム化後の業務コスト)は正でなければならない。これが負になってはシステム化による業務コスト削減は失敗であり、開発にかかるコストを回収することはできない。システム化せず、従来の方法で業務を続けていればよかったということになる。
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| 2. |
システムが削減する業務コストの合計は、その業務回数に比例する。つまり、頻度の高い業務ほどシステム化によるトータル削減コストは潜在的に大きいということである。逆に、頻度の低い業務についてはシステム化にかけるコストは抑えるべきであるといえる。
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- 開発チームの問題 -
前節で示した原則は、システム開発の検討段階では当然システム化のポイントとして捉えられているはずであり、また、難しい考え方ではない。
しかし、開発にゴーサインが出され開発チームが活動を始めると、いつのまにかこのコスト削減の考え方はどこかに追いやられてしまう傾向にある。開発チームは、システム化によって業務コストを削減することよりも、システムを完成させることに視点を奪われてしまうためである。
なぜ開発チームの業務コスト削減への意識は希薄になってしまうのか。原因はいろいろ考えられるが、そのひとつは通常は開発チームのメンバーは開発対象システムのユーザーにはならないということである。自身が使用することのないシステムについて、どのような局面でどのようにシステムが業務に使われているかを各々が想像するのは難しい。従って、業務をどのようにシステム化するのが効率的なのかについてあやふやな基準しかもち得ないし、それを各々に期待するのも難しい。
問題なのは、そのような状況にもかかわらず、前節で示したような原則にしたがって調整されるべきシステムの機能やユーザーインターフェースは、開発チームの設計によって決定される部分を大きく残しているということである。
あやふやな基準にもとづいた設計により、開発したシステムが実際の業務局面にうまくフィットせず、貴重な業務コスト削減ポイントを逃してしまう可能性が高い。つまり、システムが削減する業務コストは極大化されていない状態にある。
- 開発チーム構成への提案 -
システムが削減する業務コストを極大化するために、ここでは開発チームに次のような役割をもつ専任メンバーを配置することを提案する。
| 1. |
システム化の対象となる業務およびその周辺業務について調査を行ない、システム化に求められるポイントが何であるかを分析する。調査においてはユーザーから十分なヒアリングを行なう。
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| 2. |
システム化によって削減される業務コストを定量的に捉え、開発リソースをどの部分に集中すべきなのかを検討する。
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3.
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継続的にコスト面から設計をチェックし、開発チームの軌道修正を行なう。
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これにより、システムの設計基準は集中して管理され、開発チームは業務コストの削減という目的から外れることなくシステム開発を進めることができるようになる。
- まとめ -
新たな役割をもつメンバーの追加配置は、短期的には開発コストを増加させる。しかし、システム化によって削減される業務コストは極大化され、結果システム化が企業利益に与える貢献はそれ以上となるに違いない。
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